サクラマス研究

ばれたのは、サクラマスだったのか?

ばれたのは、本当にサクラマスだったのか?

サクラマスのヒットは貴重です。年に1回でもヒットすれば幸運だと思います。ヒットしたら確実にフッキングさせ、そしてばらさずにゲットしなければなりません。しかし、サクラマスのシーズンになると、川や釣具屋さんでばれた話ばかり行き交います。まるで、ばらした数を自慢しあっているようです。
「いきなりミノーをひったくられて、ドラッグが悲鳴を上げたが、ばれてしまった。」
「ミノーに歯型が残っていた。」

サクラマスはいきなりルアーをひったくって走りません。しかも、ミノーに歯型を残すような、鋭い歯もありません。ばれたのはサクラマスかどうか、定かではありません。ここではその件についてお話します。

ニゴイのスレ

本流でミノーイングしていると、ニゴイの背中にスレ掛かりすることがあります。こんな時はいきなりニゴイが突っ走ります。姿も見ていないのに、経験の浅いアングラーはこれを勘違いします。(見てもわからないかもしれないが。)
「サクラマスがいきなりミノーをひったくってドラッグが鳴ったが、合わせる間もなくばれてしまった。」と。

サクラマスはヒットしても絶対いきなり走りません。その場で魚体をくねらせて、もぞもぞしていることがほとんどです。この動きがロッドに伝わると、「サクラマス特有のヘッドシェイキング」と感じます。また、時には根掛かりと勘違いすることもあります。

サクラマスは、いきなりルアーをひったくって走りません。

歯型は残らない

ばれたあとミノーに歯型が残ったという話も聞きます。魚屋さんでサケをよく観察してください。歯は確かにありますが、ピラニアみたいな歯ではなく、細かいざらざらした程度の歯です。サクラマスの歯もこの程度です。

サクラマスがばれても、ルアーに歯型は残りません。もし、ばれたあと歯型が残ったという話があれば、別の魚種かホラ話です。あるいは本当はピラニアだったかもしれません。

針掛かりしたフックは伸びない

「ミノーのフックを伸ばされた」という話もよくあります。これも勘違いです。しっかりフッキングしたフックは伸びません。考えても見てください、がっしり根っこまで流木に突き刺さったミノーのフックが伸びて回収できると思いますか。

フックが伸びるのは、きちんとフッキングできなかった時です。ミノーイングしていて、ちょうど自分の真下にミノーが来た時にサクラマスがヒットすると、フックが硬い顎骨を貫けなくてばれます。こんな時は大抵フックも伸びています。また、サクラマスや二ゴイの背中にスレ掛かりした時も、フックは根っこまで貫かないので伸びることがあります。

きちんと針掛かりしない時にフックが伸びるのです。単なるスレ掛かりを、ばれたばれたと口惜しがらないことです。ルアーフィッシングは引っ掛け釣りではないのですから。また、真下から食いつくサクラマスをフッキングさせるのは、とても難しいです、ほとんど運まかせというのが実情かもしれません。

ばれたのはニゴイでも、サクラマス

「逃がした魚は大きい。」は、アングラーの心理をよく表現した言葉です。少しでも大きい魚を釣りたいのがアングラーの常です。ばれた、大きさを確認できない魚を、「あれは大きかった」と、つい吹聴したくなるものです。

サクラマスのルアーフィッシングでも、この心理が作用します。魚種を確認できないうちにばれた魚を、「逃がした魚はサクラマス」と思い込みたくなる心境は、容易に理解できます。なにしろ、サクラマスのヒットは滅多にありませんから。

サクラマス釣りでは、ばらしても黙っていることです。サクラマスではないかもしれませんし、あるいは単なるスレかもしれません。第一、フィッシングは、釣ってナンボの世界ですから。


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