サクラマスの研究
サクラマスはエサを食べるか?サクラマスはエサを食べない??川に入ったサクラマスはエサを食わないといわれています。しかし、多くのアングラーはこの説に異議を唱えています。あの体格で産卵までの数ヶ月断食できるものか、ルアーやミミズで釣れるじゃないか、胃の中に魚が入っていたぞ、といったところが異議の根拠です。 そこで、私の釣ったサクラマス119尾の胃内容の有無について検討しました。 サクラマスは、たまにはエサを食うようだサクラマス119尾中、14尾(11.8%)に胃内容が見られ、105尾(88.2%)では胃は空っぽでした(図1)。サクラマスでも、たまにエサを食うことがわかります。胃内容物については後述します。 大きいサクラマスはめったにエサを食わないこの研究では30〜40cmの小型のサクラマスも対象に含めています。そこで、40cm以上のサクラマスとこの小型のサクラマスを別々に検討してみました。 40cm以上のサクラマス101尾では、4尾(4.0%)にしか胃内容(小魚等)が見られませんでした。そして、97尾(96.0%)の胃は空っぽでした(図2)。すなわち、サクラマスはエサを食わないという説は、40cm以上のサクラマスに限るとほぼ真実です。 小型のサクラマスは結構エサを食う次に40cm未満の小型のサクラマスを調べました。小型のサクラマス18尾中10尾(55.6%)の胃に内容物(小魚等)が見られました。これに対して8尾(44.4%)の胃は空っぽでした(図3)。 40cm未満の小型のサクラマスは、結構エサを食っていることがわかります。小型のサクラマスに限れば、サクラマスはエサを食わないという説は誤りです。 エサを食べていたサクラマスエサ(魚)を食べていたサクラマスと、胃の中から出てきたエサ(魚等)を表にまとめました。
エサ(魚等)を食べていたサクラマス14尾中10尾が、稚アユ(8cm前後)を食べていました。この時期(4月〜6月上旬)、海から大量の稚アユが遡上してきます。川岸の駆け上がりに、稚アユが黒い帯状になって遡上するのが観察できます。ルアーをリトリーブすると、すぐに引っかかるくらいです。したがって、サクラマスがアユを食べるのは当然です。 しかし、この表を見て「サクラマス用のルアーはアユカラーだ」と判断するのはちょっと早計です。なにしろ網ですくえるくらいアユがいても、119尾中10尾しかアユを食べていないし、40cm以上のサクラマスに限ればほとんど食べていませんから。 40cm未満のサクラマスでは、上表のように、複数のアユを食べている個体がいます。これらの多くは、水面で稚アユをチェイスしていました。このような捕食行動を観察したら、ルアーは間違いなくアユカラーでしょう。しかし、40cm以上のサクラマスを狙うなら、アユカラーにこだわらない方がいいと思います。 No14のサクラマスも小魚を食べていました。消化が進んでおり残念ながら魚種を同定で来ませんでした。しかし、骨格の印象から、稚アユではないような感じでした。 No11、No12、No13のように、昆虫を食べているサクラマスも釣れました。No11の「蚊」の正式名は何というのでしょう。早春に見かける、いわゆる「ミッジ」です。ギンケヤマメがミッジにライズするのを見かけますが、まさかサクラマスまでミッジを食べるとは意外でした。 |