「シングルフックでスズキ(シーバス)釣りに挑戦【予告編】」でお話した実験は、大雨、ビールの誘惑、家族の無言のプレッシャー等幾多の障害の中、当初の算段より大幅に遅延しました。そしてようやく5月下旬から7月いっぱいの実験結果を中間報告出来る運びとなりました(汗)。
「予告編」も参照して下さい。特に、1.シングルフックではアタリは減らないか? 2.フッキングが減らないか? 3.バラシは増えないか? 4.釣果は減少しないか? 5.スレは減るか? 6.魚のダメージ(特に目玉やエラの損傷)は減るか? の6項目を検討しました。
なお、本実験はミノー限定です。バイブレーションは別の機会に検討します。
期間中、せっせと釣行しました。出撃日時や攻撃地点の情報は、今後の作戦行動に支障をきたす恐れがありますので軍事機密です。
シングルフックとトリプルフックの双方で合計118回のアタリがあり、60尾フッキングし、11尾ばらしました。その結果、49尾のスズキを釣りました。このうち7尾がランカー(80cm以上)です。スレ掛かりは6尾、眼球やエラを損傷したスズキは4尾でした。以下に詳細を報告します。
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表1は全アタリ数の比較です。
「コンアタリ」とはコンと感じるだけでフッキングしない、いわゆるショートバイトのことです。「ガツンアタリ」とはガツンと強く当たったもののフッキングしないアタリを意味します。「フッキング」とは針掛かりした場合のことで、この中には結果的に釣れたものとばれたものを含みます。
「予告編」では、シングルフックにするとミノーのバランスが崩れてアタリが減少する恐れがあると心配しました。しかし、アタリは減少しませんでした。むしろ多いくらいなので、一安心した次第です。
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興味深いことに、シングルフックではコンアタリ(ショートバイト)が増加することが判明しました(表2)。
水面下の出来事を直接観察できませんので推測になりますが、ガツンアタリとフッキングは針先が魚体にある水準以上の強さと角度で接触した際に生ずる筈です。それに対してコンアタリは魚体が針先に接触しないか、あるいは軽く接触しただけだったり角度が浅い場合に生ずるアタリです。したがって針先が少ないシングルフックでショートバイトが増加するのは不思議な現象ではないようです。
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表2のようにフッキング率は減少します。針先が1/3に減少するためと推察しました。
シングルフックではコンアタリ(ショートバイト)が増加すること、スレ掛かりが減少すること(後述)と合わせて興味ある知見です。
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フッキングしてもばらしたら「画竜点睛を欠く」です。シングルフックとトリプルフックのバラシ率を比較しました(表4)。ご覧のように、シングルフックに交換してもバラシが増える心配は無用でした。
数字には表れませんが、シングルフックででかいヤツが掛かると、まず外れません。バラした5尾はいずれも、「まあ、いいや」のサイズでした。
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釣果数を表5に示します。シングルフックでも十分な釣果を得ることが出来ました。ほっと安堵した次第です。
なお、釣果の写真、ヒットルアー情報は一期一会(7)写真9以降に徐々にアップしていきます。
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当然予測できる結果ですが、シングルフックではスレ掛かりが大幅に減少しました(表6)。美しく釣りたい私としては、スレ掛かりは嫌いです。この結果に大いに満足した次第です。
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私はリリース派ではありませんが、釣った魚の目玉がつぶれたりエラから大出血していると気分最悪です。ビューティフルに釣りたいものです。
表7のように、シングルフックで目玉やエラの損傷を防ぐことが出来ました。トリプルフックで生じた損傷は、眼球破裂1尾、エラ損傷3尾でした。特にエラは魚の急所です。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。
以上、中間報告をしました。シングルフックに交換しても、トリプルフックと同程度の釣果を期待できるうえに、スレ掛かりや魚体へのダメージ(目玉やエラの損傷)を防いで美しい釣りが出来ることが分かりました。
その他言及したい利点があります。まず、シングルフックとタモ網が絡むことがありませんでした。ルアーを携帯する際、シングルフックはかさばらないのでルアーケースに収納しやすくなります。また、フックカバーが不要になります。使用に伴うミノーの針傷もほとんどなくなります。
実験はイナダがやってくる秋口まで続けるつもりです。でも、思ったように釣れないと、これが最終報告になるかもしれません(汗)。期待しないでお待ち下さい。 (平成18年8月7日記)
(平成19年8月4日、ようやく最終報告が完成しました。)