ルアーフィッシングの思い出

サクラマスのハットトリック、他

サクラマスのルアーフィッシングは、いつもボウズ

皆様ご存知の通り、サクラマスのルアーフィッシングは、いつもボウズです。でもそれは、サクラマスがスレた大物だからではありません。生まれてからモンスターになるまでずっと川で過ごしたトラウトなら、物凄くスレていて、なかなか釣れません。しかし、サクラマスは海で成長して川に帰ってきたウブな魚です。運が良ければ、私にも簡単に釣れることがまれにあります。生涯で唯一サクラマスのハットトリックをやった、ある年4月のことをお話します。

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平成10年4月中旬、ルアーフィッシングでやっと釣れたサクラマスです。オス43cm、ちょっと小さめです。
写真1
2尾目のサクラマスは、メス54cm1.6Kgでした。
写真2
ルアーフィッシングでサクラマスをハットトリックしたのは初めてです。メス56cm1.9Kg、メス46cm0.9Kg、オス50cm1.1Kgの3尾です。
写真3

やっと釣れた、小さめのサクラマス

寒がりの私ですが、その年は頑張って、3月初めからサクラマスのルアーフィッシングを開始しました。合計十数回、休日のたびに出撃しましたが、全然釣れないし、アタリもありませんでした。サクラマスが釣れているという情報は聞こえてくるのですが、ほかのアングラーが釣ったところさえ見ませんでした。

4月中旬のある朝、今日もダメだろうしガソリン代がもったいないなあと思いましたが、せっかくの休日なので出撃することにしました。到着してみたら、川は大雨と雪代で濁って増水し、最悪な状態でがっかりしました。でも、気を取り直して、流れのゆるくなった場所でスプーンを流していました。水温は9度くらいでした。

1時間ほど粘った頃、ルアーが下流45度方向をゆっくり扇型に横切ったあたりで、クンクンクンとアタリがありました。魚は小さく、ドラッグも鳴らずに簡単に寄って来ました。濁った川の中からバシャバシャと出てきたのは、オス43cm950gのサクラマス(写真1)でした。ウロコが剥げやすい、スリムな魚体でした。小さかったですが、1ヶ月以上魚を見ていなかったので、とてもうれしかったです。ヒットルアーは、コンデックス赤金25gでした。

2尾目のサクラマス

翌週、同じ川に出撃、朝5時半到着、先日より水位と濁りは落ち着いており、水温も11.5度と絶好のチャンスでした。

コンデックス25g赤金を取り出し、腰までウェーディングし、大きな淵の尻を横切るようにクロスキャストで超遠投し棒引きしました。そのうち、向こう岸のアングラーが、サクラマスらしい魚を1尾ゲットするのが見えました。フィッシングに関しては負けず嫌いなので、私はちょっとくやしかったですが、表面上は平静を装って釣り続けました。

6時頃、ようやく私にもヒット、自分のロッドを見るとグーングーンと大きくしなっています。「やった、サクラマスだ」。岸からかなり沖までウェーディングしていたので、後ずさりしながら慎重にファイト、ちょっとてこずりましたが、なんとか自分でタモ網に取ることができました。メス54cm1.6Kgのサクラマス(写真2)。先ほどのくやしい気持ちは、あっという間に吹き飛びました。ラッキーでした。

サクラマス、ハットトリック

次の休日は、川面が霧に包まれた静かな朝でした。両岸のあちらこちらに数人のアングラーが思い思いのルアーをキャストしており、期待に胸を膨らませました。 私は先日の淵でウェーディングして、コンデックス25gの超遠投と棒引きを開始しました。

アタリはすぐ来ました。魚はかなり大きく、9ftのトラウトロッドが満月に絞り込まれ、私は狂喜しました。なんとか寄ってきた魚体を見ると、型のいいサクラマスでした。サクラマスは流れに乗って下流に走り、そしてウェーディングした私の下流を横切り、私よりも岸の方へ回り込み、そして今度はゆっくり上流に泳ぎ始めました。私はサクラマスの真下につけることになり、サクラマスを背後から見ながらファイトする形になりました。サクラマスのフライフィッシングの本には、サクラマスがアングラーより上流に行くとバレやすいと記載してありましたが、サーモンフライとスプーンでは形状が違うのか、そんなにバレることもないようです。逆に、流れとロッドのテンションの2つのプレッシャーをサクラマスにかけることができるので、有利にことを進めやすいと思います。

そして、ようやくランディング、メス56cm1.9Kgのサクラマス(写真3上)。すぐ次が釣れそうな予感がしましたので、サクラマスを岸の草むらに放り込んで、ラインを結び直しました。再び沖にウェーディングし、フィッシング再開。後ろを振り向くと、ウェーダーをはいていないアングラーが2人、ルアーを岸から一生懸命キャストしていましたが、私の起ちこんでいる所まで届かない状態でした。彼らは私より遅く来たので、彼らに遠慮する必要はありません、彼らの釣りを邪魔しているみたいで、なんとなく哀れで、後ろめたい感じがしました。

2尾目もすぐヒットしました。1尾目のサクラマスと同じように、立ちこんだ私の下流を回り込んで、私の上流に行ったところでゲット。タモに取ったは1尾目より小さいメス46cm0.9Kgのサクラマス(写真3下)でした。

このサクラマスも草むらに放り込んで、ラインを結び直して、また、沖にウェーディングです。両岸に10人近いアングラーがいましたが、今のところヒットしたのは私だけです。私の両脇のアングラーは、こころもち私寄りにスプーンをキャストしてきます。私の目の前しかサクラマスがいないわけでもないと思いますが、なんとなく気持ちはわかります。

腰までウェーディングし、25gのスプーンを思い切りフルキャストし、ちょっと早めに棒引きしたら、またヒットしました。サクラマスはどうやら淵のはるか沖合いに群れていたようです。そこまでルアーが届いたのは私だけでしたから、私しかヒットしなかったのでしょう。

しっかり合わせて今度もバラさないように慎重にファイトしました。サクラマスは今回も私を回り込んで上流に出ました。下手からタモ網をのばしてランディングしたのはオス50cm1.1Kgのサクラマス(写真3中)でした。

この間、たった30分の出来事でした。もっと釣れたかも知れませんが、もう充分釣ったので、この日はこれで納竿しました。私はナイロンライン10IbとダイワのシルバークリークS 9ftの旧モデル(28gまでキャストできる)を使用していました。このロッドは決して高価ではありませんが、重いスプーンをフルキャストすると、周囲の誰よりも飛びます。モデルチェンジしてしまったのが残念です。

私は、何回遠征してもサクラマスがなかなか釣れないアングラーが、結構大勢いることを知っています。そんなアングラーがこのページをご覧になったら、くやしいか、頭に来るか、あるいはその両方だと思います。しかし、このページをご覧になってちょっと冷静に考えると、これは「まぐれか運である」ことがわかると思います。つまり、一生の間には、どなたにもこんなチャンスが巡ってくる(かもしれない)ということなのです。難しいテクニックもいらない、川のほとりに住んでいる地元のアングラーである必要もないのです。そのうちきっといいこともあると思います。

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