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アラスカのキングサーモン(Sさんの手記)

富山のSさんから、アラスカのコーディアック島カーラック川のキングサーモン釣りの写真を投稿していただきました。素敵なロケーション、でかくてきれいな魚体、1度はアラスカで釣りをしてみたいものです。以下は、Sさんの写真と紹介文です。仕掛けを含め、詳細に紹介されていますので、きっと、皆様も遠征の参考になるでしょう。

写真をクリックして下さい。

写真1

写真2

写真3

写真4

写真5

写真6

写真7

写真8

写真9

写真10

釣り方

それぞれの河川によって,一日何匹の魚を釣って良いか,どの魚をどの期間の間だけ殺して良いかという決まりがあり,その決まりに従ってキープできます. (写真1)

動きまわらない.じっと待ち構える釣り. (写真2)(写真3) ウエイトをかまし,底付近を転がるように流すのがキー.スプリットショットとしては,5B,6B,7Bのガン玉を非常にたくさん用意すればOK.

根掛かりが多発するのは,覚悟です.

サーモンはどんどん遡上してきます.だから魚がちょっと休みそうなところ,まちがいなく通過する道を見つけて,その流れにばっちり適合するラインやウェイトをつかんだら,彼らが通りかかるまでキャストを続けるわけです.スティールヘッディングのようにワンキャストしてステップダウンを繰り返すとかえって獲物と行き違いになりやすいから,ここぞという場所でびしっと水底を流せている ことこそ最高の作戦です.そしてどれだけ沢山,長い時間フライをデッドドリフトしていられるか.忍耐が最高の武器となります!

キングサーモンやソックアイサーモン(紅鮭)を狙うなら,シルバーの特別な場合を除いて,すべてボトムねらいになります.スティールと違ってフライをずっと追いかけていくサーモンはほとんどいない一方,ボトムをデッドドリフトされてくるフライに反応することが多く,ティニーラインやディープウォータエクスプレスなどのシンキングラインが必要であり,リーダーの途中にスプリットショットを取り付けて水底をノックしていく.これがベスト.

現地のガイドに徹底して指導されます.「ボトムパンプ! パンプ! パンプ!」

そして,フライを空中に漂わせようものなら,「時間の浪費をしてはいけない!」と注意されます.

え?鉛の固まりを取りつけたらフライフィッシングじゃない?日本人には不得意な釣りだし,気に入られないのは良く分かります.でもこれで一度掛けてみてから次にいった方がいいんじゃないですか?(写真4)

フライ

フライの選択はこれだ!というのがあるようでないようで・・・カギは海から遡上して間もないということ.海での食性をいかに喚起させるかがポイントの一つ.カラーの選択も無視できません.赤・橙・黄・緑・紫などのゾンカーは定番で,ヒット率の高いフライパターンです.

サイズは一口サイズ.顔がでかいのでそんなに小さい必要はないけれど,えさを捕らえるように大口は開けないことが多いと感じるし,フライは噛まれる様子だからあまり大きく開けない口にスッポリ入る大きさがいいと思います.

現地ではエッグサッキングリーチのピンク&パープル,ピンク&ブラックも良く使われていて,14人の釣り仲間で釣りを開始したところ,第一投目からいきなりキングをゲットしてしまった私が使っていたのがピンク&パープルのエッグサッキングリーチでした.(写真5)

一週間の釣りのうち後半には,釣り仲間のヒットパターンから総合して,写真のようなストロベリーブロンドかオレンジブロンドのみを使用するようになっていました.(写真6)

ラインとリーダー

バッキングは300ヤード程度欲しいです.

ラインは,減水と増水を視野に入れた選択をする必要性が重要となります.私たちが釣行したときは,6月下旬の大潮のときで朝8時ごろが干潮,お昼ごろが満潮,夕方が干潮というパターンでした.アラスカのコーディアック島カーラックリバーというところでしたが,アマゾン川のように河口付近は川が蛇行していて,干満の差がはっきりしていました.写真7は,宿のロッジからの河口付近の風景ですが,真ん中の緑のある細長い陸地は右手側よりロッジまでつながっています.細長い陸地の先に岸壁のある2つの山が見えると思いますが手前の方の山のすそ部分が河口に相当し,ロッジから4キロメートル先にあります.細長い陸地の手前が川,向こう側が太平洋でクジラがたくさんいました.写真はちょうど干潮時のもので,川底が出た黒っぽいところや細長い陸地の岸部分が黒っぽく濡れているようすがわかると思います.

朝方は河口部まで歩いて行って釣りをし,早めの昼飯をとったら上流にむけてアルミボートで40分かけて移動(写真8), 夕方まで釣りをしたらボートでロッジに帰るという毎日でした.

リール

リールは戦う道具です.アラスカ釣り旅人に道具のトラブルは許されない.”明日また来よう,一週間後に来よう” とは違った道具です.丈夫さはソルトウォーターのリールが優秀.ソルトウォーターの世界で高い評価を得ているティボーやエーベルは間違いのない選択だと思います.

私自身は,エーベルビッグゲームをこころゆくまで試したいと考えて,サーモンフィッシングには,Abel BIG GAME #4とAnti/Reverseの#3A/Rを使用しています.重たいので針がかりさせるまでが大変ですけれど,フッキングさせたらこっちのもので有利に展開できます.

走っているときや暴れているときは ” Let him go ” が原則で,相手が行きたいときは行かせてしまうわけですが,Anti/Reverseリールは断然有利です.写真のキングは20ポンドの小型のものですが,取り込み時間はポンドを分に置き換えると良いかもしれません.40ポンド超クラスをかけ,下流に向かって一気に走られ,バッキングラインまですべて失った人がいました.おもしろかったのは,それから1時間ほど経ったときに私の目の前を遡上していくフライラインがあり,その時は腰までの深さのところに立ち込んでルアーフィッシングをしてましたから,スプーンでフライラインを引っかけてたぐり寄せ,カラーと長さから先程失われたやつだとすぐにピンときました.
「魚の手ごたえがあるんですよ」
シイラの手釣り漁師のまねをしようと思いましたが場所が悪かったです.浅瀬のように自分が走ることができないので,たとえるとリールのドラグを締めすぎたような状態でしたから,魚は取り逃がし残念.フライラインは確保でき,仲間に感謝されました・・・・

ロッド

サーモンでロングキャストは必要ない!せいぜい10mである.ロッドアクションについてあえて言うなら,ヘビーシンクティップやヘビーウェイトのショットをつけたキャストとドリフトに問題のないものということです.

日本で高番手といえば8番までという人は多く,#8でも相当な大物が取り込めるとカタログにはあります.よく耳にするのが 「#8でいいよね.これ以上はニホンでは使えなくなるよね」ですが,アラスカ釣りで“いつかはキング” と考えて買うのなら,絶対にお勧めしません. 日本でも使えた方が良いというような弱気な選択は旅をだいなしにし,二度とまた出かけようとの気はおきなくなるでしょう.ヤツらはただ者ではありません.

余裕を持った選択が将来にわたっても旅の幅(楽しみと可能性)を広げるでしょうから,ファイトとフッキングを考えてアラスカ・サーモンの旅での ” 1本 ” となったら,絶対にキングは狙わない人を除いては9f#10がそれでしょう.ちなみに私は,ソルトウォーター用のREVIEW XX RX9112 STW 9'1" #11-12 のロッドを使っています.ファイティング・パッドが付いてるロッドでお勧めです.

ルアータックル

基本的にスズキ釣りのタックルで釣りました.ところが日本から持っていったダイワの3000番,シマノの4000番クラスのスピニングリールは,キング様に簡単に壊されてしまいました.圧倒的パワーで巻き取れないのです.ドラグを締めてもラインをどんどん引きだしていくのですから,ただものではありません.もちろんリールハンドルは利き手巻きとしないと巻き取れません.

ペンのリールは優秀です.日系アメリカ人からリールを借り,30ポンド(約8号)のナイロンラインを50M以上巻いて使用していました.

(帰国してからリールを修理に出したときに,上州屋で思わず,ペンのスピンフィニッシャー6500ssを購入してしまいました.)

PE-ラインは,根擦れが多いので,お勧めできません.出発前にキングをキャッチするには30ポンドのラインが必要と聞いて,走られても相当量のラインを用意するためにPE-ラインを巻いていった自分がバカでした.ボートの上での青物釣りならボート自身が方向を変えるとともにドラグのような役目をしてくれてPE-ラインで何の支障もないのですが,キング相手に浅い川での使用は大変危険です.物凄い勢いでピーンと走り出しているPE-ラインは,時代劇の“必殺仕事人のワイヤー”のごとく大変危険です.立ち込んでいる他の釣り人をケガさせないためにも使用は避けるべきですし,いっぺんでボロボロのラインになりますから.日本からは友人とともに3人ででかけましたが,初日に宿へ戻ってから,3人ともナイロンに巻き変えていました・・・・

ロッドはダイワのグランビューX ハーバーシャフト9'6"( GV-X 962LFS )を使用して問題なくキングをキャッチできましたが,多くのアメリカ人がジギング用超ヘビーロッドとペンのリールを組み合わせて強引に引き寄せていたのが印象的でした.

あとは,ルアーとフックの問題ですが,予習で「規則によってフックはすべてシングルに変えなければならない」と思ってすべてシングルフックに付け替えて日本からたくさんルアーを持参したのですが,カーラック川では,トリプルフックでokでした.何しろライセンスを発行する現地ガイドから直接にトリプルフックのスプーンやスピナーを渡されたのですから.アラスカのアンカレッジに到着したらレンタカーで釣具屋巡りをすると良いです.おすすめのルアーが目に付くところに山積みされてますから,それを購入することです.日本から持っていったルアーには40〜50センチのドリーバーデン(オショロコマ?)しかヒットできず,キングのあたりすらありませんでしたが,写真9の1オンススプーンがヒットルアーです.“ピクシー”という名前のスプーンですが,ゴールド系よりは,シルバー系の方がよく,シルバー&蛍光ピンク か シルバー&蛍光グリーンで決まりです.アラスカの定番は“ピクシー”で,誰もが知っていて誰もが使っているルアーなんです.何とこのスプーンが,新潟黒埼の上州屋(ふるさと村の方)のスプーンコーナーにぶらさがっていたのでビックリした覚えがあります.今もあるのでしょうか?

このピクシールアーに巨大,強力スイベル(100ポンドテストは必要)を介して30ポンドのナイロンラインに直結です.スズキ釣りのスイベルでは軽くぶっちぎれるか,まっすぐのピンになって帰ってきますので要注意.

日本からは魚沼産コシヒカリを一人10キロずつかついで,3人で30キロの米を持参しましたが,すしめしにして,サーモン&イクラのちらし寿司や,サーモンのにぎり寿司,イクラの軍艦巻きも大好評でした.日本食好きのアメリカ人がほとんどでしたので,みそ,醤油の使用も問題なく,バーベキューコンロでつくった“ちゃんちゃん焼き”もバターを効かせたらアメリカ人はバクバク食ってました.(写真10)

絶対にまた行きたくなる処,それがアラスカかも知れません.

Sさん、素晴らしい思い出の写真と手記をありがとうございます。

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