ルアーフィッシング「明日は釣れるといいなあ!」

グリルスって何ですか?

グリルスとの出会い

このサイトの英語版 に英国から素敵な写真が投稿されました。そこには素晴らしいグリルス(grilse)の写真が載っています。是非ご覧下さい。

ところで、私は、グリルス(grilse)はアトランティックサーモン(大西洋鮭)と関係しているらしいことは知っていましたが、詳細について何も知りませんでした。そこで、今回ある程度わかりましたのでここに紹介します。

まず、写真を投稿して下さった英国の Alan Parker 氏に直接メールで問い合わせてみました。

また、Yahoo USA を覗いて偶然見つけた the Salmon Page というページをよく読んでみました。グリルス(grilse) について記載はありませんでしたが、思い切ってメールを出して尋ねてみました。返答がすぐ来ました。

Alan Parker 氏のメール

Alan Parker 氏は angling news の方です。これは英国最大の釣り関係のサイトで、毎週24000人もの人がアクセスするとのことです。

Alan Parker 氏の手紙の要約を簡単に紹介してみます。

川で生まれたアトランティックサーモン(大西洋鮭)は一生のほとんどを海で過ごします。そして、繁殖のために川に戻ります。はじめて川に戻ったものを グリルス(grilse) と呼び、2〜4ポンド(1〜2キロ)の重さになっています。繁殖後海に帰り、そして、1〜2年後再び繁殖の為に川に戻ってきます。この時はサケ(salmon)と呼びます。また、このサケはほとんどが春に川へ戻ってくるので、Springer と呼びます。 グリルス(grilse)は夏に川に帰ってくるので、summer salmon と呼びます。

アトランティックサーモン(大西洋鮭)は一生の間に数回川に帰ってきますが、その度に大きくなります。

いったん川に入った アトランティックサーモン(大西洋鮭)は餌を全く食べなくなり、海に戻る際には体重が50%も減少します。この海に戻っていくサケをケルト(kelt)といい、のぼって来た時とは色も形もまったく違う状態です。ケルト(kelt) は全く美味しくないので釣れても川に逃がします。

以上がAlan Parker 氏のメールの要約です。

the Salmon Page の Paul Nelson 氏のメール

皆様は既にthe Salmon Page をご覧になっていると思います。見ていない方は一度訪ねて見てください。

ここの Paul Nelson 氏の返答には、単に次のように書かれていました。

I hope this helps,
Cumulative acount of large(MSW) salmon and grilse
http://www.mar.dfo-mpo.gc.ca/science/diad/counts/index.html

これは各地区のアトランティックサーモン(大西洋鮭)の遡上調査に関するカナダ政府関係のページです。英語とフランス語で書かれているのがカナダらしいです。MSWとは何かまた疑問が生じましたが、とりあえず置いておきます。

ここにはグリルス(grilse) の説明は書いてありません。ただ、サイズが記載してありました。科学調査なのでグリルス(grilse) とMSWとをしっかり定義つける必要があったのでしょう。それによると、

large (MSW) salmon > or = 63 cm in fork length
grilse < 63 cm in fork length

fork length というのは叉長のことです。ここでは科学調査上63センチで切っています。たぶん、グリルス(grilse) なのかそれともサケなのか判断に難しいものもあり、このように線で区切っているのでしょう。

以上です。

水産研究所のNさんのアドバイス

グリルスに関して、このホームページをご覧下さった日本海区水産研究所の研究員Nさんが、貴重なアドバイスをして下さいました。内容は驚くものがありました。Nさんのお許しを得ましたので、要約して紹介いたします。

いかがでしょう。アトランティックサーモン(大西洋鮭)は何回も遡上産卵すると信じられていますが、本当は、多くの個体が生殖活動を1回しかできない。グリルスとサーモンの違いは、遡上前の海洋生活期の長さの違いであるということです。

Nさんに参考図書を推薦して頂きました。とても興味深い本ですので、紹介します。

世界動物記シリーズC 今西錦司監修「サケ」J.W.ジョーンズ著(邦訳)思索社

「サケ」はちょっと古い本ですので、書店にはありません。私は県立図書館で借りて読みました。著者のジョーンズ博士は英国の研究家です。この本を読むと、アトランティックサーモン(大西洋鮭)に対する理解が深まります。

この場を借りてAlan Parker 氏、Paul Nelson 氏、日本海区水産研究所Nさんに御礼申し上げます。
Mr.Alan Parker and Mr.Paul Nelson, thank you very much for your kindness.



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