「空の匂い、海の息吹」(レベッカ・レイノルズ著、翔泳社、1997年)を読みました。この本は、アニマルズ・アズ・インターミディアリーズ(AAI)の活動記録です。AAIは、病院や様々な施設に動物や自然の素材を持ち込んで触れてもらうことを通し、人間性復活を試みている団体です。いわばアニマルテラピーのハシリでしょうか。
不治の病に冒された小児病院の子供たち、暴力が蔓延するスラム街の施設、情緒障害児や認知症の高齢者の療養センター、こういったところで起こった奇跡のような感動的物語ですが、私のようなへそ曲がりには自画自賛ぽくてにわかに信じられない気持ちも無きにしも非ずです。しかしいつも自然の中にいる私としては、自然にはそういった効能があることはよく理解しているし、AAIの取組みと情熱には心から敬意を表する次第です。
ところで私はこの本を古本屋で入手しました。本を開くと何か香油のようないい匂いがします。これは市販される段階で本の題名に合わせて出版社が仕組んだ工夫なのか、あるいは最初の購入者が趣味で香りをつけたのか、医学的に表現すると、先天性か後天性か興味のあるところです。